各位
拝啓、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、私たち「東京の図書館をもっとよくする会」は、アメリカやヨーロッパの国々の図書館のように、東京の図書館が人々の暮らしに必要不可欠な存在として発展することを願い、運動を続けている団体です。私たちは、図書館発展のためには、区長や区議会議員のかたがたが図書館をどのように考えているかが極めて重要なことだと考えています。
私たちが図書館をよくするために考えていることにつきまして、お聞きしたいと思います。ご回答につきましては、当会のウェブ(http ://mottolibrary.cocolog-nifty.com)で公開したいと考えています。ご多用のところ恐縮ですが、ご協力をよろしくお願いします。
東京の図書館をもっとよくする会
代 表 佐々木 順二
- 記入方法 別添「区立図書館政策についての公開質問状への回答」用紙に記入してください。用紙が足りない場合は別用紙に書き足してください。
なお、図書館政策をお持ちでしたら、お送りください。 - 返送方法 同封の返信用封筒に入れてご投函ください。
- 締め切り 3 月3 1 日までにご投函ください。それまでに到着したものは併せてウェブに掲載します。それ以降のものは、順次掲載します。
- 対象者 ① 区長立候補予定者として新聞等で報じられている方② 2 名以上の区議が参加する区議会会派
* 会派は各区議会のホームページによります。 - 問合先 ( 略)
- 区立図書館政策についての公開質問状
1.図書館協議会の設置について
図書館法第1 4 条は「図書館協議会を置くことができる」と規定しています。また、文部科学省告示「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」( 平成1 3 年7 月) は「図書館協議会を設置し、地域の状況を踏まえ、利用者の声を十分に反映した図書館の運営がなされるよう努めるものとする」としています。しかし、東京二三区で図書館協議会を設置している区は新宿区杉並区の2 区しかありません。
私たちは、住民の思いが図書館運営に反映するためには、図書館協議会の果たす役割は大きいと考えています。そして、図書館協議会が役割を発揮するために、図書館に見識と熱意を持つ住民を公募し、複数の公募委員を含むことが必要と考えています。お考えをお示しください。
2.資料費の増額について
先行きの見えない不況に、日々の暮らしや将来への不安が社会を覆っています。その中で区立図書館を利用する人は増え、子どもからお年寄りまで、調べ物のために、気晴らしと楽しみを得るために、図書館を利用し、図書館に期待しています。しかし、図書館の生命と言える資料費は年々減額され、一館あたりの資料費は大幅に減ってしまいました。そのため、利用がそれほど多くは見込まれない分野の資料、専門的な資料、高価な資料は買えなくなっています。資料構成が広がりと深みを失い、区民の多様な資料要求に応えることはできず、図書館の重要な役割である調べ物や学習の機能も低下します。私たちは、資料費を増額する必要があると考えています。お考えをお示しください。
3.司書職制度の採用について
私たちは、区立図書館に司書を採用することが図書館発展の最重要課題と考え、運動を続けてきました。二三区は、司書を採用せず、区役所事務に採用した職員を図書館に3 ~ 4 年間配置することを続けてきました。このため、司書の配置や図書館職員育成に力を注いだ多摩地域の図書館に比して、多くの職員を配置せざるをえなくなっています。しかも資料や情報についての知識を持つ職員がほとんどいないので本のことを聞いても対応できない状態です。
「図書館法」には「図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること」とあります。
「ユネスコ公共図書館宣言」は「資料を選択し、組織化し、利用者を援助するために、専門教育を受けた有能な職員を適正数確保することが絶対に必要である」と述べています。私たちは、専門教育を受けた者(司書)を図書館に配置する制度= 司書職制度が必要だと考えています。お考えをお示しください。
4.指定管理者制度について
いくつかの区において図書館に指定管理者制度が導入されつつありますが、図書館の発展を阻害する恐れがあると、私たちは懸念しています。図書館として存在するために欠かせない、継続性、安定性、蓄積性が失われるからです。協約により長期にサービスが固定化されるため、サービスの変化や高度化には柔軟に対応できません。また、大量のアルバイト社員が中心で、低賃金かつ雇用も不安定で、経験の蓄積ができない状態です。図書館は、全国的なネットワークを組んで、協力しあってサービスを発展させてきました。しかし、その運営を民間会社に委ねれば、他の民間会社は競争相手になるので、運営に関するノウハウは企業秘密とされ、他の図書館や機関と連携してサービスを発展させることはできなくなります。
さらに、民間会社の社員である図書館長は、その会社の意思に反する業務を行うことはできません。指定管理者によって運営される図書館は、行政が直接に運営する図書館とは性格を大きく変えてしまいます。
私たちは、指定管理者制度は公共図書館になじまないと考えてます。お考えをお示し下さい。
5.学校図書館の充実について
文部科学省は、この1月、学校図書館図書整備費を大幅に増やして、5ヵ年1 0 0 0億円を地方交付税として措置することを明らかにしました。
学校図書館の蔵書の充実が図られることになるだろうと、大いに期待しています。
学校図書館を活性化するためは、資料を揃えるための十分な資料費と必要な資料を選び、整理し、利用者に的確に提供する「ひと」が必要です。学校には司書教諭が配置されていますが、授業や担任を持ったその上に、図書館を兼務する状態で、とても図書館に力を注ぐ時間がありません。
そのために専任の図書館職員として学校司書を置くことが必要になります。学校司書が配置されることによって図書館利用が見違えるに変わった学校図書館の事例がよく新聞報道されています。
私たちは、今の学校図書館を生かすためには、資料費の増額と学校司書の配置は不可欠と考えます。お考えをお示しください。